今年の2月は酷い不眠症に悩まされた。それまで「鬱病」で通っている病院から処方されていた精神安定剤を1月やめて、睡眠薬だけにしてもらった。この精神安定剤を辞めたのが原因なのではと考えられる。2月初めは、なかなか寝付かれなかったが、それでも、その時は何時の間にか寝ていた。それが今年の、あの寒させいもあり、足が冷たく寝られなくなった。昼は雪も大変だったが、雪堀りを手伝うことも出来ず、ぼーと過ごしていた。夕食をとると眠くなり6時には布団に入るようになった。しかし、寒さで直ぐ目が冴えた。睡眠薬は効かなくなってきた。それでも少しは寝ていたように思う。そして2月14日の夜がやってきた。その夜は寝られなかった。1時間おきに布団から出て、台所に行ったり,居間に行ったりと徹夜となった。2月14日から2月27日まで、24時間目覚めていた。24時間これだけの期間意識がはっきりして起きていたのには、自分でも信じられない。身体はふあふあして、家の中でよろめいたりして、意識のあるのが苦痛であった。お母さんに言われ2月28日病院に行き、精神安定剤を処方してもらったら、その日から寝られた。病院に行ったのだが主治医がいなくて代診であった。主治医は10年以上のつきあいである。どうしようかと思ったが、思い切って代診に見てえもらうことにした。診察室に入るなり、おもわず「助けてください」と代診に叫んでいた。それほど追い詰められていた。
あの約2週間を振り返ってみる。2月14日から2月27日は夕方6時になると、私はいつものように布団に入る。しかし、眠れることはない。じっと目を閉じてみても、頭の中では何かがざわめいている。意識がはっきりしていて目を閉じることは辛かった。足は冷たく苦しい。湯たんぽを用意してもらったが、長く続かなかった。隣の部屋では、孫の笑い声が響いていた。その元気な声を聞きながら、私はかすかにため息をつく。かつては、自分も孫を抱いたり、一緒に遊ぶことができた。しかし、今ではその気力すら湧かず、ただ遠くから見守ることしかできなかった。布団に入っても、1時間が経つと、布団から起き上がる。廊下を歩き、トイレに入る。部屋に戻り、また布団に入る。しかし、また眠ることはできない。時計の針が妙に気になり、時間の過ぎるのが苦痛になる。私の心の奥底にやるせない孤独が広がっていく。この繰り返しが、夜が明けるまで続く。夜中の0時を過ぎると焦ることもあったが、何日も続くと焦るのではなく。どんよりとした不安で夜を過ごした。1時間毎にトイレに起きた時、家の中は静寂に包まれていた。お母さんはぐっすりと眠り、子供夫婦も穏やかに寝ている。しかし、私の眠れない夜は終わらない。ただ布団の中で、過去の記憶と向き合い、どうしようもない寂しさに心を蝕まれる。眠れないことだけが、辛いのではない。誰にも理解されていないのではと思うことが、もっと辛かった。
朝になると、私は無理をして食卓につく。お母さんが朝食を用意し、子供夫婦が話しながら食事をする。その中で、私はただ黙って箸を動かし、無理やり喉を通す。それでも、食べた気がしない。家族の会話は明るく、孫は無邪気に笑っている。しかし、私にはそのすべてが遠く感じられる。
「寝られなかったら病院に行こう」と妻が言う。
「寝てる?」と子供が尋ねる。
だが、彼らはすぐに別の話題へ移る。深く聞こうとはしない。私はそれがわかっているから、何も言わない。ただ、今日も夜が来ることを考える。憂鬱になる。
夕方6時、また布団に入る。眠れるはずのない夜が始まる。布団を出ては戻るを何度も繰り返し、静かな家の中でただ一人、孤独な時間が続いていく。誰も気づかないまま、何も変わらないまま、夜が過ぎていった。
そして、また朝が来る。
今日も静かに繰り返されていく――。意識のあることが苦しかった。死を考えた事もあった。死ねば寝たことになると思われ楽だと思われた。そんな2月だった。
そして2月28日病院で処方された精神安定剤でその日の夜から睡眠薬が効いた。寝られた。睡眠がこんなに有り難いものと感じたのは初めてである。ただこの後遺症はまだ続いている。まだ布団に入るのが怖い。またあの2月が繰り返されるのではとの思いがある。意識があるのも考えものである。起きる,寝るのバランスがこんなに重要とは思わなかった。あのときは、ずーと意識のない状態が続かないものかと何度も思った。水は72時間飲まないと駄目と言われていて、私も経験していたが、眠ることはどうなんだろう。2週間寝なくても死なないことだけは、分かった。
copilotで「人間は何日寝ないでいられるか」と質問をした。その答えが「人間がどれだけ寝ずにいられるかという問いには、驚くべき実験結果があります。1965年、当時17歳のランディ・ガードナーという高校生が、264時間(約11日間)連続で眠らずに過ごすという記録を打ち立てました。この挑戦は医師の監督のもとで行われ、ギネス記録にも登録されました(現在は健康への影響を考慮して、この種の記録は受け付けられていません)。
ただし、彼の体には深刻な変化が現れました。数日目には記憶力や集中力の低下、幻覚、言語障害、感覚の鈍化などが見られ、7日目には震えが止まらず、まともに話すことも困難になったそうです。
つまり、理論上は10日以上起きていられるかもしれませんが、身体と精神へのダメージは非常に大きく、危険を伴います。ちなみに、極度の睡眠不足が続くと、脳は「マイクロスリープ」と呼ばれる数秒間の無意識な眠りに入ることがあり、これが事故やミスの原因にもなります。」であった。私の方が長く寝ないでいたことになる。今でも布団に入るのが怖い。6月にはいって、今は落ち着いている。生きるという事は大変な事だ。